経済 2

2冊の本を読みました。

三橋貴明、中野剛志 「売国奴につぐ」(以下「売国奴」といいます)
藤井厳喜 「バカで野蛮なアメリカ経済」(以下「バカ」といいます)

なぜこのようなバカで野蛮なタイトルをつけるのでしょうか。
内容は至って真面目なのに。

何れも現在のグローバリズム=新自由主義に対する批判です。
「売国奴」は著者二人による対談で、現在日本の経済政策批判です。
対談の性格上彼らの主張がはっきりしていますが、
データ的なものがあまりありませんのでご説拝聴ということになります。
「バカ」と対照的です。

この本の最大の主張は、
政策的にはデフレを最も回避しなければいけないことで、
そのためには財政出動こそが必要なのであり、
さらなるデフレを招く増税やTPPには反対ということです。

見習うべき手本として、
日本では高橋是清、米国ではルーズベルトを挙げています。

私は経済理論に疎い人間ですので、
彼らの経済について専門的議論が十分理解できませんし、
したがって正当性の判断ができません。

ただ一つ「デフレはよくない」という考えは共有できます。

「バカ」はウオールストリートを中心に議論します。
こちらは前者とは反対にデータをベースにした議論で、
その分わかりやすいですが、批判はその分和らいでいます。

著者はアメリカとの付き合いが深いようで、
自身の肌で感じたアメリカ批判になっています。

金融資本を中心にした「ワンワールド主義」(=グローバリズム)が、
アメリカの政権にも深く入り込んでいる現状を説明、
そして世界へ増長して行くさまを解説します。

しかしこのワンワールド主義は一本調子に発展せず、
リーマンショックやEUの経済危機に阻まれている現状、
将来的にはワンワールド主義の行きつく先も予測します。

ワンワールド主義の対局になるティーパーティの動向、
これらを見据えたオバマ政権のかじ取りの難しさも言及しています。

これからのもっとも注目すべき動向は、
フェースブック等のビックデータのありようで、
これが金融資本と結託したとき、
世界全体の統一管理になる恐ろしさを指摘しています。

話は本題から外れますが、
ウオールストリートからルービン、グリーンスパン、サマーズ等
多くのユダヤ系アメリカ人がワシントン政治の中枢に入り込んでいることから、
アメリカ金融はユダヤ資本が牛耳っていると思われがちだが、
必ずしもそうではなくて、現にアメリカの財閥はロックフェラーやモルガンであり
ユダヤ系を寄せ付けない立場を保っていること、
またユダヤ系の人々も色々でユダヤ=グローバリズムではないということ、
等の解説も大変興味がありました。

私はこれらの主張に心情的には共感しますが、
もっと多くの主張を聞いてみないといけないと思っています。

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