4月でしたかNHKの朝のニュースの時間に、幼児がランニングバイクに乗ってレースをしているのを紹介しました。「ランニングバイク」は商品名かもしれませんが、幼児用のペダルがなくて足で地面を蹴って進む自転車です。ペダルを漕ぐことに気を取られない分、バランスをとって運転することができ、自転車の練習の前の乗り物としてもいいということです。
私は「これは孫のコーちゃんにいい」とすぐ思い、コーちゃんがヘルメットをかぶって、元気にレースをしているのを想像しました。もうじき3歳になるコーちゃんは運動神経抜群ですぐに乗りこなしてくれるだろう。と予想しました。
3月にコーちゃんが静岡に引っ越して以来、一度もコーちゃんにあっていません。
息子の都合もあったので、6月9日やっと静岡に訪問することができました。
3ヶ月振りの孫は私のことを覚えているのだろうかと少し不安でしたが、彼の家のピンポンを押すと小さい足音が「とんとんとん」と走ってきて、ドアの向こうにコーちゃんが迎えてくれました。
早速あらかじめ送っておいた自転車を組み立てて、彼にとっては大きすぎるプロテクターを何とか、膝と肘に取り付けて、かっこいいヘルメットをかぶって、ランニングバイクに初めて挑戦しました。
しかし私の期待に反し、彼は上手に乗れません。
足をけっていると、ハンドル操作がおろそかになります。
岩にぶつかりそうになって、早々に戦意喪失です。
私は彼の身になって考えていませんでした。
「軽い」と思った自転車も彼にしてみれば重く容易には扱えません。
もう少し自転車に「なれる」ことから始めなければいけませんでした。
練習は早々に切り上げて、近所の湖のそばの遊歩道に三輪車に載せて散歩に行きました(三輪車もまだ漕げません)。以前の住居と違って、こちらはいはゆる住宅地なので、小さな子供の遊び場がありません。
それに友達もまだいないのでしょう。
気持ちが鬱積していたと思います。
道端の砂をいじり始めました。
靴も二の腕も砂埃で真っ白に汚れてきました。
私は何度も「もうやめなさい」と注意しましたが、意地になって砂をまき散らします。
私のコントロールが効かなくなったので、私は三輪車を押して帰り始めました。
彼はあわてて私の方にやってきました。
ちょうど手洗いがあったので、言っても聞かないコーちゃんを抱えて手を洗おうとしました。
彼はギャーギャー泣きわめきます。私は構わず手を洗い、
「やかましい」と大声で叱責し、彼のかぶっている帽子をむしり取り、その場に叩き付けさらにその帽子を踏みつけました。彼は私の権幕にたじろぎ、泣くのをやめました。
私はかれの涙を拭いてやり優しく話しかけながら、三輪車に乗せて彼の家に帰りました。
その日私はホテルに宿をとりましたので、帰ろうとすると、コーちゃんはドアの前に立ちふさがり、帰らないでと私を制します。
彼は私に対して初めて聞かない態度をとりました。私は初めて彼に対して怒りました。彼はそれをどう受け止めたのだろうかと内心心配でした。
しかし、彼は私の愛情をしっかり受け止めてくれたと思います。いろいろな意味で「よかった」と思いました。なによりも彼が人の真意を直裁に感じるとても素直な性格の子だと確認しました(これも爺馬鹿かもしれません)。
ランニングバイクを二日にわたって練習するつもりでしたが、あきらめて二日目はコーちゃんと二人で遊園地にいって遊びました。
変わらず元気で活発な孫です。また会おうね。