入間田宣夫「武者の世に」

「鳴くよ鶯平安京」(794年)、
「いい国作ろう鎌倉幕府」(1192年)、のように覚えた日本史は無味乾燥です。

645年の「大化の改新」から平安京造営まで150年、
平安京遷都から将門の乱まで150年、
鎌倉幕府設立まで約150年後のことです。

今から、150年前のことを考えてみてください。
150年前といえば、ペリーが来航した時代、遠い遠い昔のことです。
明治から現在まで私たちの知らない沢山のことがあったのです。

もちろん、中世と現代の時間の流れは、そのスピードに違いがありますが、
それにしても、平安遷都から将門の乱までも、
将門の乱から鎌倉幕府設立までも沢山の事件があり、沢山の変革がありました。

人々は抑圧や貧困のなかで怒り、悲しみ、苦しみ、戦い、強者に媚び懸命に生きてきたのに、
あたかも何もなかったように、
事件の発生年の暗記だけの日本史は何か違うという気がします。

そうではなく歴史の中身を知れば、
歴史の必然を理解でき、
より一層日本の歴史をまた日本という国を深く知るとこができると思います。

日本史で、今私が一番興味があるのは武士の本質についてです。
「武士は一体何者なのか」、「結局暴力団と変わらないのではないか」、
「その当時の庶民・農民はどのように生きていたのか」ということです。

その答えを期待して、入間田宣夫「武者の世に」(日本の歴史7 集英社、1991年)を読みました。

結論からいえば、何故か読みにくく、面白くないのです。

もちろん私の感想ですから、他の人は別の評を出しすのに異論はありません。
読者の評価は、読者のその本に対する期待や扱っている問題への知識のレベルにより異なるでしょう。
私の興味や知識レベルが原因で、この本は「面白くない」のでしょう。

歴史上の事件をなぞっているし、ふんだんに史料も提示していますが、
何か私には通り一遍のような気がします。

これは高校歴史教科書を詳しくしたようなものです。

ただし、私が教わった半世紀も前の歴史と今ではずいぶん変わっているようで、
色々な新事実が発見されて、
昔の「大化の改新」や「武家の出現」について、
今は異なる学説が主流になっているようです。

さて、この本は、西暦930年代の将門の乱から始まって、元寇の襲撃・鎌倉幕府の対応で終わります。
「武者」に視点をあてているのは分かりますが、
当時の文化・宗教にも言及しているのに対して、
朝廷の動きはよくわかりません。

以下、私が理解した限りで本書「武士の世に」を解説します。

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