「坂の上の雲」を読む 1

長い間小説を読んでいなかった。
(昨年、最近再翻訳され評判になった「カラマゾフの兄弟」に挑戦したが、
例のドストエスキーのネバッコさに降参し、2冊目でやめてしまった。)

旧友から四国の松山でクラス会を開くので来ないかと連絡があり、最初は松山は小さな町で温泉以外に何もないから、クラス会が終わったら松山城でもチラッとみてさっさと帰ろうと思っていたのだが、松山に数年勤務したという団地のU氏に、見るべきところを色々教えてもらっていたら、その中で「『坂の上の雲』はいいですよ」という。

せっかくだから、読んでみるかと「おおたかの森」の本屋にいって文庫本を3冊だけ買って帰った。全部で8冊だが、「とても8冊読めないだろうな」と思って、「3冊なら途中ギブアップでもいいか」と3冊だけ買って帰った。

読み始めるとドンドン引き込まれてしまった。結局1週間余りで全冊完読した。

明治維新後松山で育った、正岡子規と後に軍人になる秋山兄弟を主軸に話が展開する
(ただし、子規は若くして肺結核で死去するので、子規の話は小説の序章で終わ)。
秋山兄弟は下級武士の家系に生まれ、タダで勉強できるということで、士官学校(海軍は兵学校)に進む。兄は陸軍、弟は海軍。

司馬遼太郎は、史実に忠実に小説を書いたといっている。どこから事実でどこからがフィクションかよくわからないが、この小説で読む限り明治の人々の必死さが手に取るように判る。

この小説では、トルストイの「戦争と平和」とかレマルクの「西部戦線異状なし」のような、戦場における人々の心理描写や個人の日常的な描写はないが、明治の軍人の生き様はこのようだってろうなと納得する。

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