先日、昔[電気労連]かどこか全国組織の労働組合の役員をしていたという男性と議論しました。
彼は「中国が好きだ」といっていたから、
どれだけの確固たる論拠をもっているのか確認したかったのです。
彼は、日本は韓国・中国に酷いことをしたと次のようなことを言います。
「日本軍は慰安婦をおいていた」。
「日本は朝鮮人を強制連行した」。
「重慶を何度も爆撃した」。
私は、「戦争になればどこの国も酷いことをしている。中国も韓国も同じだ」。
「慰安婦をおいていたのは日本だけではない。朝鮮戦争での韓国軍、米軍も同様だ。
それをいいとは言わないが、なぜ、日本だけ非難するのか」。
「強制連行はゼロではないが、証拠があがっているのは数件である」。
「重慶の爆撃はよくないが、ではなぜ米軍による東京空襲を非難しないのか」
のような反論をしました。
彼は、興奮してまったく関係のないことをいったり、誰かの主張を鸚鵡返ししたりします。
議論していて一番の問題は、
「彼の主張には根拠がない」あるいは「根拠を明確に説明できない」ことです。
日本の知識人の典型的な思考能力だと思います。
私は、彼が一般人であれば、あまり非難しませんが、
生涯に亘って政治的に動いてきた人間が、
根拠もなく自国を非難することの罪は許しがたいと思います。
特に今は、韓国や中国が日本を貶めようとプロパガンダを張っています。
それに、米国やヨーロッパが易々と同調しています。
この状況で知識人と自称する日本人が、まともな根拠も提示できないで、
「日本悪者論」を展開することは、まったく「能天気」で放置できないことだと思います。
加瀬英明、H.S.ストークス[なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか](2012年、祥伝社)を読みました。
私は衝撃を受けました。
「多分」と思っていたことに、「やっぱりな」という感想を持ちました。
この本は、日米開戦にいたる、特にF.ルーズベルト大統領の動きをかなり細かく追っています。
私は、国際政治を考えるとき、
外国人が日本人と同じ倫理観をもっていると考えてはいけない。
全く違う人種であり、多くの場合悪意に満ちていることを肝に銘じるべきだと思っています。
大航海以降の白人は、「キリスト教こそ真理であり白人のみが選ばれた民である。
他の有色人種は動物にも匹敵する下等な人種だ」と考えていました。
この基本的価値観の下、
大戦前の東南アジアの国々はことごとく、イギリス、フランス、オランダ、アメリカの植民地にされ、
かろうじて植民地を免れていたのは、イギリスとフランスの緩衝地帯としてのタイと、
いち早く近代化した日本だけでした。
時のアメリカ大統領・F.ルーズベルトの両親は、共にオランダ系の裕福な家系の出でした。
母方の家系は中国へのアヘン貿易で財をなし、
香港に屋敷を構えて、中国から略奪した沢山の美術品を所有していましたし、
大統領自身中国に特別の関心を持っていました。
日露戦争終結の仲介役をした、セオドア・ルーズベルトとは縁戚関係にあります。
S.ルーズベルトは日露戦争までは、日本に肩入れしていましたが、
いったん日露戦争で日本が勝利すると、態度を一変させます。
満州はロシアに代わって、日本が経営することになったからです。
当時既にイギリス、フランス、ドイツ、ロシアは中国を分割統治していて、
遅れをとったアメリカは満州への侵攻を目論んでいたのです。
1939年ドイツがポーランドに侵攻したことに対して、イギリスがドイツに宣戦を布告し、
第二次世界大戦が勃発します。
当時アメリカは、第一次世界大戦を教訓に、
「自国が直接攻撃されない限り戦わない」という法律をつくっていましたので、
この戦争に直接加担することは出来ませんでした。
対独戦に苦戦していたイギリスのチャーチルは、なんとかアメリカに協力してもらおうとしますが、
ルーズベルトは国内法のしばりのために、動くことができません。
ただし実際には秘密裏に、蒋介石中国に武器輸出等をしながら、
参戦の大義名分を探っていました。
その大義名分とは、日本にアメリカを攻撃させるというものです。
ルーズベルトは、日本に対する鉄、それに続いて石油の輸出の禁止を決定し、日本を追い詰めます。
日本は何とかこれらの禁輸を解こうとアメリカと何度も交渉しますが、
ルーズベルトは日本を戦争に引き込もうとしているので、
交渉がまとまる筈がありません。
交渉の最中アメリカは、日本の暗号電文をすべて解読し、
完全に日本を手玉にとっていました。
日本はドイツの快進撃に呼応し、ドイツと同盟を結びます。
ドイツがアメリカに圧力をかけることを期待したのです。
(ドイツは日本と防共協定締結時も、蒋介石を支援していました)
ロシアもまたアメリカの参戦を望んでいました。
ドイツ軍がモスクワの近くまで攻め入っていましたので、
極東の地を脅かす日本をアメリカに叩いてほしかったのです。
アメリカ・ルーズベルトは何とか日本を戦争に巻き込みたかったので、
じりじりと日本を追い込みます。
日本の懸命な交渉にも係わらず、アメリカから出されたのは、
日本が到底受け入れることのできない、ハル・ノードでした。
日本はそれを最後忠告と受け止め、真珠湾攻撃を仕掛けます。
ルーズベルト、チャーチル、スターリンの思う壷でした。
私はこの話は可なりの信憑性があると思います。
ただし、私は今すぐこの話に飛びつきません。
この本の致命的欠陥は、参照資料が明記されていないことです。
この話を信じるかどうかは、もっと勉強して納得してからにします。
なお、この本には戦後のマッカーサーが施行した日本統治の国際法からみた違反性や、
日本の戦争が、結果としてもたらした、アジアの解放についても書いています。
他に、S.ストークスが[ペリー襲来から真珠湾への道]と題する文章を書いてい[ますが、
前回ご紹介しました[連合国戦勝史観の虚妄]と重複部分が多数です。