Amazonでの評価が高かったので、吉本貞昭「日本とアジアの大東亜戦争」(2013年、ハート出版)を読みました。
大きな活字で漢字にはカナが振ってあり、子供向けに書いたのだと思います。
150ページ程度ですから、正味1日程度で読むことができます。
内容は、15世紀の大航海時代、西欧が世界の国々を支配していった経緯から始まって、日本とロシアの衝突、満州事変から日本と中国との衝突、日本を追い詰めたアメリカ・イギリスの動き、アメリカとの全面戦争と、日本による東南アジアの国々への進出、等先の大戦を一通りおさらいしています。
しかし、私はこの論調には多いに疑問があります。
本の前半は上で説明した戦争の経緯で、後半分は日本の戦争の正当化です。すなわち、「日本は西欧から追い詰められた被害者だが、一方で日本はアジアの国々の独立を助けた」という話が続きます。
大東亜共栄圏は西欧の植民地とは違う。インドやインドネシアの人々は日本に感謝している。
先の大戦の本当の勝者は日本だという結論です。
この本は嘘偽りを書いてはいないと思いますが、日本の陰の部分をいっさい無視しています。
この本を無批判に受け入れるのは疑問があります。特にこの本が子供向であることは問題です。
子供向けなら、日本のいいとこも、間違っていたところも、バランスよく記述すべきです。