アレン・アイルランド「The New Korea」

もう「韓国」は終わりにしようと思っているのですが、気になる本が出版されると、どうしても読みたくなります。

最近、アレン・アイルランド著「Then New Korea  朝鮮が劇的に豊かになって時代」(2013年 桜の花出版)なる本が出版されました。

著者(1871-1951)は、イギリス生まれの植民地経営専門の研究者です。1901年シカゴ大学の招きで、植民地運営委員会の委員として、3年間極東で、イギリス、フランス、オランダおよび日本の植民地経営を研究しました。

またこれとは別に、米国の植民地であったフィリッピンにも滞在し、アメリカのフィリッピン経営も研究しています。

この本を書いた時点で、著者は40年に亘り、半分をイギリス、アメリカ等の独立国で生活し、残り半分をインド等の植民地国で生活しています。

経歴から分かるとおり、著者は日本による朝鮮統治だけに関心があったのではなく、当時の多くの列強による植民地経営を横並びでみて、また朝鮮(4年?)と日本(3年?)に滞在して、この本を書いたのです。

原著は日本による朝鮮統治(1910-1945)の真っ只中、1926年の出版です。

日本語訳「Then New Korea」は、明らかに現在の反日韓国世論を意識し、わざわざ原文(英文)と日本語訳の対訳の形をとっていますし、反日への反論的資料を添付しそのような構成をとっています。

著者は本書第一章・序論で、この本の立場を書いています。すなわち帝国主義と民族主義の対立で、そもそも帝国主義が弱小国を統治する権利があるのかないのか、という点です。この種の議論では、民族主義者はいかに優れた帝国主義による統治も非難し、いかにひどい自民族による統治も過渡期として正当化します。

著者はこのような倫理的議論には深入りしないで、植民地経営という観点から、日本による朝鮮統治のあらゆる点に亘って、資料を示しながら説明し、次のように結論づけています。

私が3年以上に亘りこうした資料を元に研究しその結果を本書に記したのであるが、私が至った結論というのは次の通りである。

今日の朝鮮は李王朝時代とは比べ物にならないくらい良く統治されており、また他の多くの独立国と比較してもその統治は優れている。すなわち、これまで私が尋ね歩いたイギリス、アメリカ、フランス、オランダ、ポルトガル領のいずれの植民地もよく統治されていたが、その多くの植民地よりも、(日本の朝鮮統治は)政府の行政手腕のみならず、民衆の文化的経済的発展においても優れているのである。

本書の主な章建ては次の通りです。

政府組織 (総督府、地方政府)
司法制度と裁判所
警察と監獄
政府の財政
教育
医療・公衆衛生・社会福祉
経済発展 (農業 林業・水産業・鉱業 貿易 製造業 銀行業)

一読すれば、何の産業もインフラもなく、腐敗しきった李朝朝鮮に対して、日本人が払った努力は、並々ならんものがあったと認めざるをえません。

日本が「ボランティアで朝鮮を統治した」ということはありえないことだし、ミクロでいえば様々な軋轢や虐待等あったでしょうが、マクロでみれば、朝鮮の発展に日本が果たした役割は劇的に大きかった、というのが正当なものの見方だと思います。

「だから日本は朝鮮人にいいことをした」とは言わないが、いつまでも日本を恨む社会心理には、「だから、朝鮮人はだめなんだ」、「だから、朝鮮人は自力で独立できなかったし、今も変わらないのだ」というしかありません。

個人のレベルでも、大きな失敗をしたとき、自分の境遇を恨み、廻りの人間を非難するだけでなく、どうしてそうなったのかを自問しなければ、その人自身が進歩しないと、日本人なら考えます。

私は、韓国論について恐らく40冊以上の本を読みましたが、もっとも説得力を感じたのは、イザベラ・バード「朝鮮紀行」、李栄薫「大韓民国の物語」、そしてこのアレン・アイルランドの「The New Korea」です。

韓国・朝鮮を理解するには、それで十分だと思います。

error: コピーできません !!