拡大写本ボランティア

東北大震災の後でなにか私にできるボランティアはないかと思っていたのですが、
東北まで出かけて行って、
「逆に皆さんの足手まといになってはいけないし」
と躊躇していましたが、
地元に拡大写本サークルというのがあるのを知りましたので覗いてみました。

目の悪い(弱視?)子供のために、教科書を拡大するのです。
ただ拡大すればいいという訳ではなく、
結局図も含めて全面的にレイアウトのやり替えになります。

文字は30ポイントにします。
画像や図表に書かれた文字も大きくする必要がありますので、
図も作り直したり、説明の文章も配置換えになります。

もう随分長い間ボランティアの人たちがこの作業をしているようです。
最初は手書きの教科書を作っていたそうですが、
今はコンピュータでの作業です。

現在は文部省を介して、教科書会社が健常者用の教科書をPDFファイルにして提供してくれます。
ファイルはAcrobat Readerで開けば、
文字(文章)はテキストとして抽出できますし、
画像もJPGで抽出できます。

レイアウトは全面見直しですからこれは一仕事ですが、
画像も問題です。

弱視の人は図が重なると見にくいので、
重なった図を切り離さなければいけませんし、
図に書かれた文字も削除し、
大きく書き直さなければいけません。

これをラスター単一層のJPGの世界で処理するのはぞっとする作業です。

みなさん長年この作業をしてきたようです。

私は教科書PDFを色々調べてみました。
最初は「PhotoShopに読ませればレイヤー操作ができるのではないか」と期待したのですが、
手持ちのPhotoShop CS3では全て単一のレイヤーに書き込まれます。

結局Acrobatで開けば、すべての文字や画像が[層]で管理されていることが分かり、
したがって、簡単に文字を削除したり、画像の重複を解除することができるのが分かりました。
今回に限っていえば、画像編集はPhotoShopでJPGを修正するより、
AcrobatでPDFを編集する方が圧倒的に効率的です。

書籍は最終的にはInDesignで編集するのでしょうから、
もしかしたらInDesignの最新版であれば、
もっとうまくいくかと思い試用版を使ってみましたがうまくいきませんでした。

 

さて次の問題です。

ボランティアがAcrobatを購入するのは、財政的に難しいことです。

Adobe社と交渉しました。
Adobeのソフトは高価でアマテュアにはなかなか買えませんが、
教育用価格の設定がありますので、
なんらかの社会貢献のプログラムがあるのではないかと期待したからです。

すばらしいプログラムがありました。

テックスープというプログラムがあって、
色々なNPOに対してマイクロソフトやアドビがここを窓口としてソフトを寄贈してます。

Acrobatはおよそ3千5百円の手数料で入手できます。
Windows 7 など500円足らずです。

ただし審査があるので、このプログラムを利用するには今少し時間がかかりそうです。

 

次の問題は、ボランティアの皆さんが長い間やってきた方法を躊躇なく変更するのかどうかです。

こういう問題は意外にやっかいで、
私としては「ケ・セラ・セラ」といったところです。

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